『その女、バリ暴につき』
この物語はフィクションでございます。
その有名中年タレントへの恋愛感情はなかった。
ただ、私には野望があった。
パリ五輪キャスターへの野望が。
そのタレントがうちの局のメインキャスターに起用されるんじゃないかという噂が局内で流れ、私はこの人を利用することにした。
急げ、急げ。
親密になることで、サブに推してもらおうと考えたのだ。
だってこのままでは同期のライバルが抜擢されてしまう・・そんなの絶対イヤだ!耐えられない!
私は、「五輪」というより「バレーボール」に相当な思い入れがあった。
女子には関心がなく、男子のみ。
「男子バレー」というより「バレー男子」にかな(笑)思い入れがあるのは。
彼らの大舞台に関わりたい。関わってる自分にもウットリしたい。お目当ての選手も何人かいる。
本当は、前述のタレントとなんかより、選手と親密になりたい。
でも、急がば回れ。
だから、食事会の後でそのタレントが急遽呼びかけた二次会にだって、他の女性陣が断る中、女性で一人参加表明したし、災害級の大雨の日にも二人きりだと知りつつ、呼び出されるままそのタレントの自宅へと出向いた。
それなのに。
どうも雲行きが怪しい・・早い話、何だか無理っぽい・・
あんなことまでされたのに冗談じゃない!悔しさで気が狂いそう!このままではやられ損じゃないか!これで終わってたまるか!このことを無駄にしない!絶対タダでは起きないからな!
憎悪がマグマのように噴き出した。
私の願望を打ち砕いた会社をズタズタにしてやる。
あの男からは大金をせしめてやる。
それでパリにも行ってしまおうか。あの地には私がふさわしい。私がいるべきなのだ。
ポジションに就けなかったショックではカネにならないが、あっちのショックでなら・・
心療内科にかかり、診断書を書いてもらう。
主治医を2回変え、3人目でようやく私が望むような書き方をしてくれる主治医にたどり着いた。
いくら医者であろうと、私の意に沿わない奴は許さない。
誰であろうと、絶対許さない。
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