私が非国民になった日

自分が、「終わり良ければすべて良し」とは考えられない面倒臭い性格であることを、改めて思い知ったのである。

もちろん、もちろん、女子も男子もオリンピックには行って欲しいと思ってた。

・・・あ、バレーボールの話ですぅ。

皆さんは、世界最終予選の全日本女子のタイ戦をご覧になっただろうか。

もうね、誰もが思ったろうけどね、明らかにタイの方が実力が上だったのよね。
日本チームは、タイに翻弄されて無様なほどにバタついてた。

「いつのまにタイはこんなに強くなったのだろう・・・せやけど、日本も負けへんでぃ!」とも思っていた。

そしてフルセットにもつれこみ、最終セットで、日本チームは6点のビハインド。
最終セットは15点で終了なので、6点も差がつきゃ、もう勝負は決まったも同然なのである。

しかし、中盤で日本は粘りを見せ、ジリジリと点差を縮めていく。

もしそのまま逆転できれば、それは「奇跡」であり、私は歓喜にむせび泣いたことだろう。
この試合に負けると、リオ行きはほぼ絶望的となるのだから。

しかし、少し追い上げられたことで、タイの監督に焦りが出たのか、「遅延行為」として2枚のレッドカードが出される。

長年、バレー観戦をしてきた者だが、レッドカードって初めて見たよ。
しかも、相手チームに点が入るのね。

そして、15対13で日本の勝利。
2点差って、ちょうどレッドカード分なのよ。

この大会から、タブレット端末で選手交代を申請することになった。
タイの監督によると、選手交代をしたかったのにタブレット端末が上手く作動しなかったため、そのことを訴えたところ「遅延行為」と取られてしまったらしい。

それだとホントにお気の毒なのだが、そんな理由じゃなかったとしても、やっぱ相手チームのレッドカードのおかげでやっとこさの勝利っつーのは、後味悪い。

はっきり言って、私はちっとも嬉しくなかった。
実力的に言って、タイが勝つべきだ、と思ったのである。

タイは、日本がボロ負けした韓国にも勝っている。
そう、ホントに着実に実力をつけてきたチームなのである。

長年、私はずっと弱いタイを見続けてきた。
日本や韓国にコテンパンにやられるタイを見続けてきた。

そんなタイが、オリンピック出場も夢ではないレベルにまで成長したというのに。
こんな形で夢破れるなんて。

タイ戦で勝利後、金メダルを取ったかのように喜ぶ選手や観客たちを、冷やかに見るアタシ。
視聴者もメディアも、「感動」だの「奇跡」だの「執念の差」だのと言ってはしゃいでる。

あぁ、「勝ちは勝ち!」「結果が全て!」と喜べたら、どんなにラクだろうと思う。
そして、それができない自分に、今さらながら驚くのである。

結局日本は、イタリア戦で2セット取った時点でリオ行きが決まった。
同時に、タイのリオ行きはなくなった。

日本が1セット取った後、「もう1セットも取らないで」と少しでも願った私は、「非国民」と呼ばれても仕方がない人間なのであった。。

コメント