先輩へのダメ出し、難しいッスね

昨年、バレーボールの石川選手はこんなことを言っている。

相手からのサーブに対するレシーブ(レセプション)について。
「どうしても遠慮しちゃうんです。これは自分が取りに行ってもいいのかな、と思うんですけど、もしかしたら優さんや永野さんが『自分が取るボールだ』と思っているかもしれない。そうすると自分が取りに行けば邪魔になっちゃうから、一歩遅れちゃって、結果的にはじいたり、崩されたりするので、そこは直さなきゃって思うんですけど、難しいです」

現に、石川選手と永野選手(守備専門の「リべロ」というポジション)の間をサーブで狙われ、上記の理由で気持ちに迷いのあった石川選手がレシーブに失敗し、連続失点を喫した試合もあったようだ。

そこで、試合終了後、自分がどこまで取りに行ったらいいのか、永野選手に尋ねたそうだ。

すると返答は、「行けるところまで行ってくれればそれでいい。お前が取れなかったら、俺が全部カバーするから、思い切ってやれよ」。

そして今年のワールドカップ。

またもや、石川選手と永野選手の間をサーブで狙われる試合があった。
そんなに速い球でもなく、どちらともが問題なくレシーブできる球であった。

しかし2人の目の前で、ボールはポトリと落ちてしまう。

何故そんなことが起きたのか。
石川選手は、自分がどこまで取りに行けばいいのかを先輩から聞き出せていたではないか。

私はこう思う。
石川選手は、別にそれが知りたかったわけではなく、もっと守備範囲を広げてほしい、というのが本音だったのではなかろうか。

しかし自分よりも10歳以上も年上のベテランに対して、そんなことが言えるはずもない。
それで、遠回しにあのような質問を投げかけるに至ったのではないか。

本来なら、守備専門のリべロが率先してあらゆる球に食らいついていくもんだ。
でも、そういう姿勢があまり見られないもんだから、石川選手は結局、迷いながらボールを受けて失敗してしまう。

本音としては、守備は永野選手に任せたい。
そして自分は攻撃に専念したい。

もちろん自分に向かって飛んできたボールには対応するが、自分とリべロの付近に来たボールは、やっぱり リべロが取るもんだろ、と。 私もそー思う。
石川選手は、そこを確認したかった(のだと思う)。

しかし返答は、「行けるところまで行ってくれ」。

それを聞いた石川選手は、きっと遠い目をしていたに違いない。
ただでさえ、えげつないスパイクサーブをピンポイントで狙われることが多いのに、それ以外の時にもボールに飛び付いていかなきゃならんのか、と。

しんどい、とかではない。
日本チームの勝利のためには、その形は望ましくないと考えているのではないか。

だから、ボールは2人の目の前でポトリと落ちた。

それは、2人の認識が秘かに平行線のままであることを物語っている。

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