大物芸人は母の愛に支えられてる!?

それは突然の告白だった。
ダウンタウンの松ちゃんが番組内で父親の死去を明かしたのだ。

ヤングピーポーは知らんだろうが、昔、松ちゃんの家族はちょこちょこテレビに出てたのだ。
おそらく、家族全員がテレビに出たことのある芸人って、松ちゃんぐらいじゃなかろーか。

そして奇しくも、この報告の前日、私は松ちゃんの著書を読み返したところだった。
もちろんそこには、父親のこともたくさん書かれている。

あら、あのお父さんが亡くなったのね・・・

お笑い芸人の父親には風変わりな人が多い。

有吉も東野も、父親はかなり変わっていたらしい。
まず、「主夫」でもないのに、仕事をしていなかったようだ。

一方、松ちゃんのお父さんは、ちゃんと働いていた。
最初は大きな会社に勤めていたものの、その後は職を転々としたようだ。

松ちゃんは、子どもの頃からお父さんとの会話はほとんどなかったらしい。
のみならず、「長男(松ちゃんのお兄ちゃん)が可愛い。長男さえおったらええ」と言われたことも何度かあるらしい。

父親のバイクに乗せられて、すごく遠い埋立地みたいな所で降ろされて、2人で歩いていた時に、父親だけどんどん離れていくので、「これは完全に捨てられる」と思って必死でついていったんだとか。

そして、芸人になる時も(松ちゃんが殺意を覚えるほど)キツイことを言われたし、成功してからも、父親に褒められたことは一度もなかったのだそう。

ほとんど顔を合わせることもなく、折り合いの悪いままだったが、亡くなった時はグッときたそうだ。「これだと、母親が亡くなる時は30倍グッとくるのだろう」と言っていた。
・・・お母さんのことは大好きなのね、きっと。

自分のことを「マザコン」と公言していたのはビートたけし。
たけしと松ちゃんは、子どもの頃の家庭環境がちょっと似てる。

2人とも、兄も姉もいる末っ子である。
たけしの父親もちゃんと仕事はしていたが、酒乱であった。
子ども時代のたけしの目に映る父親は、いつでも酒に酔って暴れてる姿だった。

勉強嫌いで遊んでばかりのヤンチャなたけし。
働き者で教育熱心な母親からは、できのいい兄たちと比較され、毎日のように叱られた。

芸人として成功してからも、お母さんに褒められることなどなかったと思う。
いつもぶつかり合ってた2人なので、「褒める」なんてことは照れもあってできなかったのだろう。

それでも自分を「世界一のマザコン」だと言ってはばからないたけし。
その理由が垣間見えるエピソードをひとつ。

イタリアからTELをした。
「何もらったんだい?」
「金のライオン」
「へ~、つぶしたらいくら位だ?どうせ安物だろ。現金は?」
それだけ、あとなし。
「どうしてイタリアまで行って、マヌケな賞もらって喜んでいてバカ。早く帰ってマジメにやれ」と言って、姉さんに代わった。
姉さん、「おふくろ、向こうで喜んで一人で泣いてるよ」
~『コマネチ!』北野武 (新潮文庫)~

コメント