スピッツが「夢追い虫」だった時代

私には「お宝」と呼べるようなものがない。プレミアがついて値打ちのあるモンがね。

昔持ってたおもちゃで、今たいそう値打ちが出ている物がたくさんある。
ウチは転勤族だったから、そんなモンはどんどん捨てられた。
ま、持ってたとしても、遊び倒してボロボロになってたから、値打ちもないだろーけど。
値打ちがある、なしにかかわらず、その頃持ってたおもちゃを眺めて懐かしみたい。

いや、いや、別にここで懐かしのおもちゃ話がしたいわけではなくて…。

『パピルス』という雑誌の2007年12月号を捨てずに持っていれば、プチお宝になってたかもしんないなーって。今、定価の5倍ぐらいの値がついてんのよね。
別に売りたいワケじゃないのよッ! ただ、そーいうもの、ホント持ってないからねぇ。

マサムネ氏が表紙で、マサムネ氏の特集だったのね。なーんで捨てちゃったんだろな。
その頃の私のスピッツ熱は、復活したばかりでまだ脆弱だったのよね、きっと。
(そー言えば、今は廃刊となっている『BREaTH』という雑誌の1996年12月号もね、マサムネ氏表紙のマサムネ氏特集だったんだけど、捨てちゃったの。それもそこそこ値打ちがあると思う。創刊号だったし。まだそこまで有名じゃなかった、宮本浩次や山崎まさよし、ミッチーやチバユウスケなんかも載ってたな)

さて、その頃出版された、スピッツの『旅の途中』という本。
これを読んでるとねぇ、物悲しくなっちゃうの、スピッツとは関係のないところで。
旅の途中
今の日本ってさ、若者の夢が叶いにくくなってると思うのね。
若者の方でも夢を描けなくなってる。

もともと画家なんてのは、日本では商売が成り立ちにくかった(それも不服だったんだけど)。
成功するのは一握りだとしても、まだ作家やミュージシャンの方が可能性があった。
しかし本もCDも売れなくなった昨今、夢への扉すら閉ざされてる感じがする。
何てったって、フツーの職にもあぶれるような時代だし。
今どきミュージシャンを目指すのは、二世タレントのおめでたい奴らぐらいか。
スポーツもね、不況になるとスポンサーが降りて廃部になったりする。
不況は文化を縮小させるね。

それを考えるとね、スピッツのメンバーたちが夢を追いかけてる頃って、恵まれてるのよ、時代的に。そりゃ彼らがあらゆる面で他のバンドより抜きん出てはいたんだろうけど、いろんなレコード会社や事務所が「ぜひウチに!」と言ってきたみたいだし、デビューしてなかなか芽が出なくても、気長く手厚くサポートしてくれてんのよね。

今のような不況下じゃ、「お前ら1年で芽が出ないとクビな!」なんて言われてそーじゃん。
せっかく才能があっても、なかなか発揮するチャンスすらないんじゃないかって思うワケ。

どんなにいい曲が誕生しても、日の目を見ることなく埋もれていってるんじゃない?
現に今、後世に語り継がれるような曲って出てきてないじゃないか。
あざとい手口でCDセールスを伸ばしたような曲がヒットチャートを賑わせてちゃイカンのよ。

日本の文化の衰退を憂う今日この頃…。
こんな日本に誰がした?

コメント

  1. バンドってものが続けにくくなってるらしいですねぇ~。スピッツは、いい事務所に出会えてラッキーだったね。ずっと売れなくても我慢強くこらえてくれた・・・ちなみにB'Zも3枚目までに売れないと、、てな感じだったみたいです。
    この夢追い虫っていう歌、スピッツには珍しく恋愛の歌じゃなく夢を追いかける歌?イイ!と思っていたけどよく読んでみるとこれも恋愛の歌なのかなぁ・・・

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  2. spikoさん、コメントありがとうございます。

    若者バンドの「メジャーデビュー目指そうゼ!」的な夢が完全な絵空事に化してる時代ですよね。メジャーデビューしてもその先は、昔よりはるかにひどいイバラの道が待ってるし。

    B'zは3枚目までに結果を出さなきゃいけなかったんですね。
    そりゃ結構ハードでしたね。

    マサムネ氏が言ってたっけ…自分の曲は基本全てラブソングだと。

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