過酷な運命にむなしく響く「頑張って」

「子ども手当て」を一部削減し、今回の東日本大震災の復興財源に充てることになったそうだ。
当たり前だ。一部と言わず、全てを充ててもいい。

今回の大震災で両親を失った子どもがたくさんいる、と聞く(これは辛い)。
どちらかの親がいたとしても、働き手を失った家庭の子どもは大変だ。
いや、両親がそろっていても、家も仕事も財産もなくなった家庭があるはず。
そういった子どもたちのための「子ども手当て」ならいいと思う。

新聞に死者の名前と年齢が記載されている。
小さな子どもが亡くなっているのには、特に心が痛む。0歳の赤ちゃんもいる。
そして100歳のご老人の名も…戦火をくぐり抜けて、100歳まで生きて、何故あんな苦しい目に遭って亡くならなければならないのか。

母子家庭で、お母さんが今回の地震で行方不明になっている少年に密着取材したフジテレビ。最初フジとは思わずに「フジみたいなことするテレビ局があるんだなー」と思ってたら、やっぱりフジだった。そのお母さんが、車の中で亡くなっているのが発見された。カメラはその場にも立ち会った。見ている側(私たち)も、重すぎて受け止めきれない。カメラは子どもの表情をしきりに映そうとする。しかもリポーターは笠井アナ。去り際に、少年にかけた言葉は「頑張ってね」…何とも間抜けな響き。

もう、こういう場面で相手にかける言葉なんて見つからない。
テレビが関わる範疇ではない。そういう画ばかり追ってんじゃないよッ。

被災者に「頑張って」って言葉が禁句なのは知っている。
しかし、それ以外にかける言葉が見当たらないのも事実。

阪神大震災の時にスマップの「がんばりましょう」が被災者への応援ソングとして取り上げられたけど、被災者の立場に立ったら、イヤだもん、「どんなときもくじけずにがんばりましょう」だなんてさ、「弱音を吐くな」って言われてるようでさ。しかも今は頑張りたくても頑張れない状況でしょ? 1日にカップラーメンとおにぎり1個だったりするんだよ? 風呂にも入れない、歯も磨けない、服も下着も替えられない。それで「頑張れ」って言われてもさ。「じゃ、何とかしてくれよ」って。

たくさんの支援物資が集まってきているのに、さまざまな事情で被災者に届いていない現実。何とももどかしい。義捐金もどんどん集まってきているのに、まだそれを活かせる状況にないようだ。しかし今回の災害では、我々はまだまだ義捐金を送る必要がある。とにかく近代稀に見る激甚災害なのだ。国民一人ひとりが寄付しよう。何度も何度も寄付しよう。

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