胃から口からトラベルナース(長文です)

男性看護師のドラマってなかった(あったらスマン)よなーと思って、少しだけ興味のあった『ザ・トラベルナース』。

とは言うものの初回は見てないし、結局見ずに終わるだろうとも思ってた。
しかし今回「見なきゃ」と思ったのは・・

「胃ろう」がテーマだったからである。

菜々緒が医師役で出るのは知ってて、「どーせ超ミニスカートで超ハイヒールで白衣のポケットに手を突っ込んだまま肩で風切るように歩く、冷徹な医師役だろ」と思ってた。

でも普通の医師役だったんで、ちょっと感動した。

「女医役あるある」なんだけど、白衣のポケットに両手を突っ込みがちよねー。昔っからだよ。
カッコつけてる。ポケットに両手突っ込んで病院内を歩く医者、実際にはいないってー。
今回の菜々緒はそんなこともしてなかった。ナイス。

さて「胃ろう」である。

新聞に今回のあらすじが載っており、脳梗塞の後遺症で食事がとれなくなった患者に対して、同じ病院内の医療関係者の中で「胃ろう」派と「嚥下トレーニングをした上で口から食べる」派に分かれてるっぽかった。

私は両方の言い分を聞きたかったので、観ようと思った。
「胃ろう」派が「その患者は胃ろうがベスト」だと考えた一番の決め手は何なのか。
「嚥下トレーニングをした上で口から食べる」派が、胃ろうをしてもその後のトレーニングで経口摂取できるようになる可能性が高いのに、胃ろうを避けたい理由は何なのか。

実際の医療現場では、言語聴覚士によって口の周りの筋肉や舌の動きを改善する訓練を受け、徐々に飲み込みのトレーニングに入っていき、その結果で口から食べるか胃ろうにするかの判断が下されるはず。

一話完結ドラマであらゆる場面をはしょらざるを得ないのかもしれないが、通常の手順や決まり事をスッ飛ばしてる感じだった。

入院してすぐに、口も舌も完全に麻痺してる状態で、何の訓練もさせないまま「胃ろう」を決定するのもおかしいし、いきなりゼリー状のものを口に入れて飲み込ませるトレーニングを始めるのもおかしい。どっちもおかしい。

脚本家が「胃ろう」をどうとらえているのか測りかねた。
ひょっとしたら、どうしても経口摂取ができない人の生きながらえるための最終手段としてしかとらえていないのではないか。

もちろんそういった最終手段としても存在するのだが、今回のケースは、どう考えたって「経口摂取」が最終ゴールだろう。

胃ろうにしたってしなくたって、「経口摂取」が共通の目標。
胃ろうにすればリハビリに好都合だし、必要な栄養が十分とれるってだけの話。

でもこのドラマでは、「胃ろう」派が、患者の「経口摂取」をハナから諦めてるかのごとく描かれてた。
だから「嚥下トレーニングをした上で口から食べる」派との対立構造になる。
いやむしろ、対立構造を描きたかったのかも。ドラマだからね。

てなわけで、かなりモヤモヤが残ってしまった。

胃ろうを、一つの側面からしか見れない人は多い。
その人たちは胃ろうに対して激しい拒否反応を示す。
実は胃ろうには前向きな側面だってあるのに。

かつては私も前向きな側面は知らなかった。

身内に胃ろうの話がくるまでは。

「本格的に身体のリハビリを開始するには、経鼻栄養だけでは足りない。
飲み込みの力も少し弱いので胃ろうで栄養をとる必要がある。
その間も嚥下トレーニングを続け、問題なく口から食べることができるようになれば、胃ろうは外せる」

私にとって、主治医の説明は納得のいくものだった。
が、他の身内たちは、「胃ろう」と聞いただけで眉をひそめて大騒ぎ。

客観的には納得できた私であるが、自分の身内に必要かどうかはギモンだった。
胃ろう造設には手術が必要で、悪い所を治す以外の目的での手術に抵抗があったし、飲み込みにそれほど問題があるとも思えなかったからだ。

しかし受け入れるしかないわなぁ・・と諦めの境地に至った時、急転直下の出来事が!
※真相はコチラ⇒ 胃ろうなんかしなくていい

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