1000の被害を阻止できたかもしれない女の子

「少なくとも数百人」ってことは、千人以上いるのだろう。

あまりの多さに慄然とする。

ジャニー喜多川による性加害の被害者。

とんでもねーバケモンの毒牙にかかった少年たち。
それも半世紀にわたって繰り返されてきた。

野球チームも芸能事務所も合宿所も、設立の真の目的は、自分の歪んだ欲望を満たすため。


我々は一体何を見せられてきたのだろう・・

虚無感に襲われる。

「隠れ蓑」の部分を延々と見せられて。
欲望を満たしてくれた褒美の部分を延々と見せられて。裏では少年らの阿鼻叫喚。

なのにメディアはジャニーズジャニーズともてはやし、あんな事務所をショービジネスのトップとして扱ってきた。

死後の「お別れの会」の様子も大々的に取り上げてた。
ダークな面には一切触れず、その功績を大いに称え、最大の賛辞を送り、その死を悼んでみせたのである。

私は納得いかないながらも、死んだら彼の新たな被害者が出てくる可能性はゼロになるわけで、その点では安堵した。

しかしその時の私はまだ知らなかった・・文春裁判で性加害認定されて以降も性加害が続いていたこと、そして彼が80代半ばになるまでそれを続けていたことを。

実は裁判沙汰になるのは2回目で、それまでに告発本なんかも出されたけどメディアでは取り上げられなかった。

初めての裁判では、初代「ジャニーズ」のメンバーが全員性被害を否定し、おとがめナシ。
しかし後年、実は全員が被害者で、法廷で嘘を言わされたとメンバーが告白している。

力関係があると、なかなかジャニー喜多川を窮地に追い込めない。
ジャニーズ事務所が権力を持てばメディアは黙るし、事務所が権力を持つ前ならジャニー喜多川との主従関係でタレントが真実を隠す。

だとしたら、チャンスはあの時しかなかった。
そしてそのチャンスを活かせば、その後1000人にものぼる被害者を生まずに済んだ可能性は高い。

服部良一氏・・昭和の名作曲家。
父の仕事絡みで服部家と家族ぐるみの付き合いがあったのが、無名時代のジャニー喜多川。

服部家によく遊びに来ていた喜多川青年は、良一氏の8歳の次男を襲うようになる。

次男はそのことを姉に打ち明けるものの、「そんな話やめてよ!気持ち悪い!」と言われ、それ以来口をつぐんでしまい、ずっと被害が続くことになる。


あぁお姉ちゃん・・


お姉ちゃんが親に報告してくれたら、きっと大ごとになって、ジャニー喜多川が日の目を見ることはなかったろう。

だって大作曲家のご子息だもの。

そしたらその後の史上最悪の大量未成年者性虐待事件は起きなかったし、逮捕すらされていたかもしれない。

かと言って、お姉ちゃんを責める気はない。
だって本当にショックだったろうし、信じたくなかったろう。
その話に金輪際触れたくない、という気持ちもわかる。


ただ・・
お姉ちゃんが親に報告した後の世界を想像すると、澄み渡った青空が浮かんでくるのである。

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