かんづめに入ってる「メルヘン翁」

くらももこの初エッセイ本『もものかんづめ』で物議を醸した「メルヘン翁」。

昔、私よりも先にそのエッセイを読んだ友人が、「死んだ爺ちゃんのことをさんざんバカにしてて、とにかくヒドイ」と言ってたのを思い出す。

さくらももこは「そのような(批判の)手紙が編集部に2~3通届いた」と言っているが、実際はその100倍は届いたんじゃないかと思う。

「身内だから」とか「血がつながっているから」という事だけで愛情まで自動的に成立するかというと、全くそんなことはない。

 と、彼女は言う。私もそう思う。
でも批判されてるのは、身内に愛情を感じていない点ではないと思う。

その死に顔を、その亡骸を、コケにしまくっている点ではないか。
いや、コケにするのは勝手だが、そういう内容を活字にして公に晒している点ではないか。

その箇所に大笑いした、という人もいるが、私はちっとも笑えなかった。
やっぱり「死体」では笑えないのである!

でも、ファンは離れなかった。

ファン離れが進むのは、中期以降のエッセイからだ。それも一気に進んだ。
離れただけではなく、どんどんアンチへと転じていった。

彼女の人間性に対するギモンが膨れ上がったのだろう。
いや、メルヘン翁で大笑いしたのなら、彼女の人間性に最後までつきあうべきだろ、とも思う。

彼女亡き今、アンチなど存在してなかったかのように、愛ある哀悼メッセージで溢れている。
どんどん「いい人」に仕立て上げられたりもしている。

私はそれを不思議な気持ちで眺めている。

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