斉藤由貴の「卒業」が あの「卒業」に負けたワケ

斉藤由貴の代表曲と言えば、『卒業』であろう。

先日の会見で、記者からイジられたことでもわかる(苦笑)。

しかし、同時期に発売された菊池桃子の『卒業』の方が売れた。
それも、13万枚もの差をつけて。

斉藤由貴にとってはデビュー曲だったが、菊池桃子はアイドル絶頂期に発売した曲である。

それでこんな差がついてしまった。

しかし、どちらが人々の心に「名曲」として残ってるかと言えば、斉藤由貴の『卒業』だろう。

だから「楽曲の売り上げ」ってもんは、「その後、人々の心に残り続けるか」ということとは別モノだ。

他にも例を挙げよう。

松田聖子の『風は秋色』と『赤いスイートピー』、どちらの売上枚数の方が多いか。

答えは『風は秋色』。
『赤いスイートピー』より、何と30万枚近くも多い。

聖子は『青い珊瑚礁』でブレイクし、次の曲が『風は秋色』。
前作のブレイクの余韻をめいっぱい受けてる、と言っていい。

一方、「誰もが知っている松田聖子の代表曲であり名曲」となると、『赤いスイートピー』になる。
実際は、聖子のシングル売上ランキング10位以内にすら入っていないのに、だ。

話を『卒業』に戻す。

歌詞を比べてみると、どちらかと言えば斉藤版は「卒業前」、菊池版は「卒業後」に焦点が当たっているような気がする。

やはり「卒業前」の方が胸に迫るものはあろう。

しかし歌詞の中の女の子は、追いすがらず、感傷に浸らず、冷静的かつ現実的。
かえってそのことが「切なさ」を浮き上がらせる、という複雑な構造となっている。

これこそ「松本隆マジック」なのだろう。

※関連記事…幡 蒼子のおこりんぼ日記3: 女性アイドルについてマツコと考える

コメント